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口内炎が繰り返すのはなぜ?原因と治し方 完全ガイド

口内炎は誰もが経験したことのある身近な症状ですが、「また同じところにできた」「治ったと思ったらすぐに新しいのができる」と繰り返し悩まされている方も多いのではないでしょうか。実は、口内炎が繰り返す背景には様々な原因が存在しており、適切な対処法を知ることで改善できる場合があります。

一方で、口内炎を繰り返す場合には、重要な病気のサインとして現れることもあるため、正しい知識を持っておくことが大切です。本記事では、口内炎が繰り返す原因から具体的な治し方まで、医療機関の信頼できる情報に基づいて詳しく解説いたします。

口内炎が繰り返す主な原因

免疫力の低下による再発

口内炎が繰り返す最も一般的な原因は、免疫力の低下です。疲労やストレス、睡眠不足、栄養不足が続くと、体の抵抗力が弱まり、口腔内の細菌に対する防御機能が低下します。口の中は食事や呼吸によって常に外部と接しており、細菌やウイルスが付着しやすい環境にあるため、免疫力が低下していると口内炎を起こしやすくなります。

特に現代社会では、仕事や生活のストレスが慢性的に続きやすく、口内炎を繰り返す大きな要因となっています。ストレスは体内のビタミンB群を消耗させるだけでなく、唾液の分泌量を減少させることで口腔内環境を悪化させ、口内炎の発症リスクを高めます。また、不規則な生活リズムや偏った食事が続くことで、粘膜の再生に必要な栄養素が不足し、口内炎が治りにくく再発しやすい状態になってしまいます。

  • 慢性的な疲労やストレス状態
  • 睡眠不足による体力の低下
  • 栄養バランスの偏った食生活
  • 風邪や体調不良による一時的な免疫力低下

上記のような状態が長期間続くと、口内炎を繰り返す悪循環に陥りやすくなります。免疫力の低下は口内炎だけでなく、他の感染症にもかかりやすくなるため、生活習慣全体を見直すことが重要です。規則正しい生活リズムを保ち、バランスの取れた食事を心がけることで、根本的な体質改善を図ることができます。

物理的刺激による継続的な損傷

口腔内への物理的な刺激も、口内炎を繰り返す重要な原因の一つです。歯並びが悪い場合、八重歯などの尖った部分が口腔粘膜を傷つけたり、うっかり粘膜を噛んでしまったりしやすくなります。また、合わない入れ歯や詰め物、被せ物があると、粘膜に継続的な擦れや刺激が加わり、同じ場所に繰り返し口内炎ができる原因となります。

矯正器具を使用している方の場合、器具が口腔粘膜に当たることで傷ができ、そこから細菌感染を起こして口内炎となることがあります。このような物理的刺激による口内炎は、原因となる刺激を取り除かない限り、治療をしても同じ場所に再発しやすい特徴があります。虫歯や欠けた歯がある場合も、舌や頬の内側を傷つける要因となるため、早期の歯科治療が必要です。

  • 歯並びの問題による粘膜への継続的な刺激
  • 合わない入れ歯や歯科治療後の詰め物・被せ物
  • 矯正器具による粘膜への接触
  • 虫歯や欠けた歯による舌や頬への刺激

これらの物理的要因による口内炎を根本的に解決するためには、歯科医師による適切な治療や調整が不可欠です。口内炎が同じ場所に繰り返しできる場合は、歯科医院を受診して口腔内の状態をチェックしてもらうことをお勧めします。

栄養不足による粘膜の脆弱化

口腔粘膜の健康維持には、特定の栄養素が重要な役割を果たしており、これらが不足すると口内炎を繰り返しやすくなります。最も重要なのはビタミンB群で、特にビタミンB2は粘膜の修復作用があり、ビタミンB6は皮膚や粘膜の生成に関わっています。これらのビタミンが不足すると、口腔粘膜が薄くなり傷つきやすくなるだけでなく、傷の治りも遅くなってしまいます。

ビタミンB群は体内で生成することができないため、食事から摂取する必要がありますが、疲労や激しい運動、ストレスによって大量に消費されてしまいます。また、糖質の多い食事を摂ると、その代謝過程でビタミンB1が大量に消費されるため、甘いものの摂り過ぎも口内炎の原因となることがあります。その他にも、免疫機能の維持に必要なビタミンA、全身のバランスを整えるビタミンC、亜鉛や鉄分なども口内炎の予防と治癒に重要な栄養素です。

  • ビタミンB2不足による粘膜の修復能力低下
  • ビタミンB6不足による粘膜生成機能の低下
  • ビタミンA不足による免疫機能の低下
  • 亜鉛・鉄分不足による組織修復能力の低下

現代の食生活では、加工食品やインスタント食品の摂取が多く、これらの栄養素が不足しがちです。口内炎を繰り返す方は、日頃の食事内容を見直し、必要に応じてサプリメントで補うことも検討してみてください。ただし、効果には個人差があることをご理解ください。

病気が原因の場合に注意すべきサイン

再発性アフタ性口内炎という疾患

口内炎を繰り返す症状には、「再発性アフタ性口内炎(RAS)」という特定の疾患概念があります。これは3-5mmの口内炎が1個から複数できて1-2週間で改善しますが、しばらくするとまた繰り返すという病気です。世界中にある病気ですが、中東、地中海沿岸、南アジアに多く、ほとんどの人が思春期頃に発症し、年齢と共に軽くなることが多いとされています。

原因はよく分かっていませんが、口の粘膜における免疫の異常が関係していると考えられています。一般的に、1年に1、2個のアフタ性口内炎が数回できる程度の人もいれば、ほぼ常に口内炎がみられる人もいます。年齢を重ねるにつれ、通常は発作の回数が減り、軽症化していく傾向があります。食物アレルギーとの関係は認められておらず、ストレスにより悪化することが多いようです。

再発性アフタ性口内炎の特徴として、痛みは強く(非常に小さなものから予想されるよりもはるかに強い)、4~7日間持続します。口内炎はほぼ必ず軟らかでゆるい組織にでき、例えば、唇や頬の内側、舌、口の底の部分、軟口蓋、のどなどにできます。見た目は浅く、円形または楕円形で、中心部は黄色がかった灰色で、縁は赤色です。

  • 3-5mm程度の小さな口内炎が繰り返しできる
  • 1-2週間で自然に治癒するが、再発を繰り返す
  • 痛みが非常に強い
  • 思春期から発症し、年齢と共に軽快する傾向

このような特徴的な症状がある場合は、医療機関での診断を受けることをお勧めします。適切な治療により症状の軽減が期待できますが、効果には個人差があります。

ベーチェット病などの全身疾患

口内炎を繰り返す場合に最も注意が必要なのは、ベーチェット病という全身性の炎症疾患です。ベーチェット病では、約98%の方に口腔内再発性アフタ性潰瘍(口内炎)が現れ、最初に出現する症状として多いのが特徴です。ただし、一般的な口内炎とは異なり、痛みが強く、同時多発や再発を繰り返しやすく、境界がはっきりした深い潰瘍を形成します。

ベーチェット病の診断には、口内炎以外の症状も重要です。皮膚に赤い発疹がみられたり、陰部に痛みのある潰瘍ができたり、眼の炎症(ぶどう膜炎)などが出現すると診断に至ります。眼、腸、神経、血管に病気が起こると重症化し、強力な治療が必要になります。ベーチェット病は指定難病であり、適切な診断と治療により症状のコントロールが可能ですが、効果には個人差があります。

その他にも、糖尿病、シェーグレン症候群、バセドウ病、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの全身疾患でも口内炎を繰り返すことがあります。これらの疾患では、免疫機能の異常や全身の炎症反応により、口腔粘膜にも影響が現れることがあります。

  • 口内炎以外に皮膚症状、眼症状、陰部潰瘍などを伴う
  • 2週間以上治らない口内炎が繰り返し現れる
  • 発熱や全身の倦怠感を伴うことがある
  • 複数の口内炎が同時に発生しやすい

このような症状がある場合は、早期に医療機関を受診し、専門医による診断を受けることが重要です。早期発見・早期治療により、症状の進行を抑制できる可能性があります。

口腔がんとの鑑別が必要なケース

口内炎を繰り返すと思っていたものが、実は口腔がんの初期症状である可能性もあります。一般的な口内炎は境界がはっきりしており、小さなものであっても強い痛みを伴い、通常10日前後で自然治癒します。一方、口腔がんの場合は見た目が口内炎と似ているものの、いくつかの特徴的な違いがあります。

口腔がんの特徴として、小さいうちは痛みを感じない、進行するとしこりが出てくる、境界が曖昧ではっきりしない、出血することがある、白や赤の斑点があり、でこぼこしている、2週間以上経っても治らない、などが挙げられます。また、口内炎の場合は口腔粘膜のどこにでもできますが、口腔がんの場合には舌にできるケースが半数以上と多く、特に舌の縁にできる傾向があります。

口腔がんは、肺がんや胃がんのような体の中にできるがんとは異なって、目に見える位置にできるがんであるため、早期発見しやすいがんとも言えます。2週間以上治らない口内炎や、上記のような特徴を持つ病変がある場合は、迷わず医療機関を受診してください。早期発見により治療成績は大幅に向上します。

  • 2週間以上治らない口内炎
  • 痛みがない、または痛みが軽い
  • 境界が不明瞭で硬い
  • 出血や白・赤の斑点を伴う

口腔がんの早期発見のためにも、口内炎が長引く場合や繰り返す場合は、自己判断せずに専門医の診察を受けることをお勧めします。

効果的な治し方とセルフケア

生活習慣の改善による根本的対策

口内炎を繰り返さないためには、まず生活習慣を見直すことが最も重要です。十分な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠をとることで免疫力を回復させることができます。質の良い睡眠とは時間の長さだけでなく、熟睡できているかということです。熟睡するためには、体内時計が正しく働くように規則正しい生活をすることが基本となります。

睡眠のリズムを崩さないためにも夜更かしは禁物です。就寝前の生活習慣も見直してみてください。ぬるめのお湯に入浴したり、なるべく夜間はパソコンやスマートフォンを使わないようにしたりすると、睡眠の質を向上させることができます。また、ストレスや疲れが溜まっていると感じる人は、リラックスできる時間を設け、熟睡できる環境づくりを心がけましょう。

栄養バランスの整った食事も欠かせません。特にビタミンB群を積極的に摂り入れた食事を心がけ、体の休息と食生活の改善を図ることが重要です。疲労や激しい運動、ストレスにより必要量が増すビタミンB群は、神経組織や免疫機能に影響する重要な成分です。

  • 毎日7-8時間の十分な睡眠時間の確保
  • 規則正しい生活リズムの維持
  • ストレス解消法の実践(趣味の時間、入浴、軽い運動など)
  • バランスの取れた食事によるビタミンB群の摂取

これらの生活習慣の改善は、口内炎の予防だけでなく全身の健康維持にも重要です。継続的に取り組むことで、口内炎を繰り返しにくい体質へと改善していくことが期待できますが、効果には個人差があることをご理解ください。

口腔内環境の改善

口内炎を繰り返さないためには、口腔内を清潔に保つことが不可欠です。毎食後の丁寧な歯磨きを欠かさないようにしましょう。歯磨きの際に口腔内の粘膜を傷つけないよう、やわらかめの歯ブラシや刺激の少ない歯磨き粉を選ぶことをお勧めします。こまめなうがいも、口腔内のセルフケアとして有効です。

唾液には抗菌作用があるため、唾液の量が少なくなり口腔内が乾燥すると、細菌が繁殖しやすくなります。適切な水分補給で口腔内を潤すほか、口呼吸によるドライマウスの傾向がある場合は歯科医院に相談するなどして改善を図りましょう。また、歯垢や歯石などの汚れ、お口の乾燥(ドライマウス)は細菌が増えやすくなるだけではなく口腔内の免疫も低下し口内炎になりやすいため、お口の中を清潔に保つ習慣は欠かせません。

よく噛んで食事をすることも口内炎の予防につながります。よく噛むことによって唾液の分泌が促され、唾液の作用によって口腔内が清浄に保たれるためです。適度に硬いものを食べるなどの工夫をして、よく噛むことを習慣づけましょう。

  • やわらかめの歯ブラシで優しく丁寧な歯磨き
  • 刺激の少ない歯磨き粉の使用
  • こまめなうがいによる口腔内の清潔維持
  • 十分な水分補給による口腔内の乾燥防止

口腔内環境の改善は、口内炎の予防だけでなく虫歯や歯周病の予防にも効果的です。定期的な歯科検診を受けることで、口腔内の健康状態をチェックしてもらうことも重要です。

適切な薬物療法の活用

口内炎ができてしまった場合は、適切な薬物療法を活用することで痛みの軽減と治癒の促進が期待できます。市販の外用薬(塗り薬など)には抗炎症成分である「トラネキサム酸」や「グリチルレチン酸」、生薬の「紫根エキス」などが含まれています。これらは患部に直接塗って患部を保護し、炎症を抑えて痛みを和らげることを目的としています。

内服薬には主にビタミン成分が配合されており、粘膜の再生を促進し健康な状態に保つビタミンB群を配合したビタミン剤は、じっくりと症状を緩和しながら、口内炎を長引かせず、できにくく、繰り返さない口内環境を整えていきます。薬剤師に相談しながら症状に適したものを選んでください。

ステロイド剤を含んだものは即効性が期待できますが、ウイルスやカンジダ菌が原因の口内炎に使用すると悪化する恐れがあるため注意が必要です。うがい薬や殺菌作用のあるマウスウォッシュも、口腔内の細菌を減らして治癒を促進するのに効果的です。

  • 抗炎症成分配合の外用薬による患部の保護
  • ビタミンB群配合の内服薬による体質改善
  • うがい薬・マウスウォッシュによる口腔内の殺菌
  • 必要に応じて医療機関でのステロイド治療

これらの薬物療法は、すべての口内炎に効く特効薬というものではなく、必ず治るというものでもありません。効果には個人差がありますが、症状がつらい場合には試してみることをお勧めします。使用前には薬剤師や医師に相談し、適切な使用方法を確認してください。

まとめ

口内炎が繰り返す原因は、免疫力の低下、物理的刺激、栄養不足などの生活習慣に関わるものから、再発性アフタ性口内炎、ベーチェット病、口腔がんなどの疾患まで多岐にわたります。多くの場合は生活習慣の改善により症状の軽減が期待できますが、2週間以上治らない口内炎や、発熱・全身症状を伴う場合は医療機関での診察を受けることが重要です。

日常的なセルフケアとしては、十分な睡眠、バランスの取れた食事、口腔内の清潔維持が基本となります。これらを継続的に実践することで、口内炎を繰り返しにくい体質への改善が期待できます。症状が改善しない場合は、自己判断せず早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。なお、すべての治療効果には個人差があることをご理解いただき、症状に応じた適切な対応を心がけましょう。


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